教授 向本 雅郁

MUKAMOTO Masafumi

所属:獣医環境科学分野・感染症制御学講座・獣医感染症学教室

 

学位 博士(獣医学)
最終学歴 大阪府立大学大学院農学研究科博士前期課程修了
専門分野 獣医感染症学
学部担当授業科目 獣医衛生学B、獣医伝染病学総論、獣医伝染病学各論A、感染症制御学、獣医衛生学実習
大学院担当授業科目 感染症制御学特別講義B
オフィスアワー 月曜日(12:00〜13:00) <りんくう・C511>
メールアドレス mukamoto@vet.osakafu-u.ac.jp
ウェブサイト http://www.vet.osakafu-u.ac.jp/epid/

 

研究紹介

ガス壊疽はClostridium属のガス壊疽菌群によって引き起こされる致死性の高い人獣共通感染症である。ガス壊疽菌は皮膚や腸管の創傷部位から感染し、血行が遮断され、嫌気的条件の成立した創傷部深部で増殖して、筋肉組織や皮下組織へと病巣が拡大する。多種の毒素・酵素を産生し、組織壊死やガス形成、さらには毒血症を引き起こす。ガス壊疽菌の中で家畜の悪性水腫と気腫疽の原因菌であるC. septicumとC. chauvoeiについて病原因子の探索と病原因子による発病機構を分子レベルで解析している。
1)C. septicumが産生するα毒素の病原性発現機構の解明
C. septicumが産生する主要な病原因子であるα毒素は、細胞膜上に非選択性のイオンチャネルであるpore(孔)を形成して膜を破壊する細胞壊死毒素(孔形成毒素)である。これまでC. septicumα毒素の病原性発現の分子メカニズムを解明するため、細胞への結合から細胞壊死を起こす過程のα毒素の細胞膜上での動態および細胞側の要因との関連性を分子レベルで解析し明らかにしてきた。酵素活性を有しないα毒素の場合は感染組織深部において、α毒素前駆体として菌体外に分泌され、GPI-アンカー蛋白を受容体として細胞表面に結合した後、蛋白分解酵素で限定分解を受け、活性型α毒素となる。活性型α毒素は脂質ラフトに集積し、6~7量体のオリゴマーとなり細胞膜上に孔(非選択性イオン透過性チャネル)を形成することで細胞死を引き起こす。ヒトにおいてはC. septicumによるガス壊疽の直接的な死因は筋肉壊死ではなく毒血症による心原性ショック(急性心不全)であると考えられている。家畜においては循環器系へのα毒素の関与は明らかになっていないが、突然死を引き起こすことがよく知られていることから、ヒトと同様に心原性ショックを誘導することは十分考えられる。現在は、心臓に対する病原性に焦点を絞り、自発性収縮心筋細胞を用いた分子レベルの解析および灌流心臓を用いた電気生理学的解析によりガス壊疽における心原性ショックの病態生理機構の解明を目指している。
2)C. chauvoeiが産生するヘモリジンの病原性との関連の解明
C. chauvoeiが原因菌の気腫疽はガス壊疽の中では珍しく種特異性があり、反芻獣特有の感染症であるとされていたが、2006年に世界で初めてヒトの感染死亡例がわが国で報告された。本菌も細胞壊死毒素(ヘモリジン)を産生することから、このヘモリジンが気腫疽の主要な病原因子である可能性がある。菌培養上清より本毒素を精製し、精製毒素の各種動物赤血球に対する溶血活性を比較した。その結果、反芻獣の赤血球で毒素活性が高く、齧歯類、イヌ、ウマの赤血球に対してはほとんど活性を示さなかった。この結果から、ヘモリジンの感受性動物が気腫疽の自然宿主と一致しており、本毒素が気腫疽の主要な病原因子である可能性を示唆していることから、ヘモリジンの細胞傷害機構を明らかにすることにより、気腫疽の明確な種特異性を含めた発病機構の解明を目指している。またヒトでの感染事例について、「なぜ本菌がヒトに感染したのか」をヒト由来株を用いて調べている。

キーワード

ガス壊疸,クロストリジウム,毒素

主な著書・論文

  1. Hang’ombe, B.M., Kohda, T., Mukamoto, M., Kozaki, S. 2006. Purification and sensitivity of Clostridium chauvoei hemolysin to various erythrocytes. Comp. Immunol. Microbiol. Infect. Dis. 29:263-268.
  2. Kohda, T., Ihara, H., Seto, Y., Tsutsuki, H., Mukamoto, M., Kozaki, S. 2007. Differential contribution of the residues in C-terminal half of the heavy chain of botulinum neurotoxin type B to its binding to the ganglioside GT1b and the synaptotagmin 2/GT1b complex. Microb. Pathog. 42:72-79.
  3. Hang’ombe B.M., Kohda, T., Mukamoto, M., Kozaki S. 2007. Effect of pH on the conformation and biological activity of Clostridium septicum alpha-toxin, a pore-forming hemolysin. Am. J. Anim. Vet. Sci. 2:46-49.
  4. Kannan-Hayashi Y., Okamura K., Hattori S., Kuwamura M., Higuchi E., Terayama H., Moriyama M., Mukamoto M., Okada M., Ohsugi Y., Nakamura Y. 2008. Neuritogenic effects of T cell-derived IL-3 on mouse splenic sympathetic neurons in vivo. J. Immunol. 180:4227-4234.
  5. Tsukamoto, K., Kozai, Y., Ihara, H., Kohda, T., Mukamoto, M, Tsuji, T., Kozaki, S. 2008. Identification of the receptor-binding sites in the carboxyl-terminal half of the heavy chain of botulinum neurotoxin types C and D. Micro. Pathog. 44:484-493.

 

所属学会(役員、委員等)

  1. 日本獣医学会
  2. 日本細菌学会(広報委員)
  3. 日本ウイルス学会
  4. 日本免疫学会
  5. 食品微生物学会
  6. 毒素シンポジウム

 

受賞歴

詳細は大学HPの「教員活動情報」をご覧ください