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獣医学専攻オープンセミナー2018(2)

日時:2018年7月4日(水)17:00−18:00

場所:りんくうキャンパス2F 第2講義室(lecture room 2, B-205)

 

コレラ菌のCTXプロファージ領域の多様性について

山城 哲 博士

琉球大学大学院医学研究科 細菌学講座 教授

 

コレラはビブリオ属のVibrio choleraeの感染により起こる急性毒素性下痢症であり、O1およびO139血清群に属するものがコレラの原因となる。O1コレラ菌はさらにクラシカル生物型、エルトール生物型に分類される。19世紀初頭より7回のコレラパンデミックが報告されている。第1次~6次パンデミックは、O1コレラ菌クラシカルによるものであり、現在まで続く第7次パンデミックは、主にO1コレラ菌エルトールが原因である。第7次コレラパンデミック株はwave 1、2、3の群に分類される。Wave 2、3菌群のCTX prophageは解析が進んでいるが、wave1菌株の解析は十分ではない。患者由来wave1株18株を用いてCTX prophage領域の構造解析を試みたところ、同領域は多様であり8つのグループに分類された。グループに地域特異性が見られると同時に、広域に分布するグループも見られた。また、各グループに属する株は、コレラ菌ゲノム解析より得たSNPを基に作成した系統樹上、それぞれ近傍のクラスターに集簇した。これまで第7次コレラパンデミック株においては、組み換え等は少ないとされているが、Wave1株においては、CTX prophage領域の活発な組み換えまたは様々な過程の複製が患者体内または環境中で起こり、その結果同領域の多様性を生み出したことが示唆された。

 

略歴:山城哲(やましろてつ)

1988年琉球大学医学部医学科卒業。1992年琉球大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士(斎藤厚教授)。琉球大学医学部地域医療研究センター・助手、米国NIH (NIAID)(Dr. Chin Juh Lai博士)、大分大学医学部微生物学講座・准教授、長崎大学熱帯医学研究所・教授(アジアアフリカ感染症研究施設・ベトナム拠点長)を経て、2016年より琉球大学大学院医学研究科細菌学講座・教授。

 

連絡先:琉球大学大学院医学研究科細菌学講座

山城哲098-895-1125 E-mail: tyamashi@med.u-ryukyu.ac.jp