教授 堀江 真行
HORIE Masayuki
所属:獣医環境科学分野・感染症制御学講座・獣医微生物学教室
学位 | 博士(医学) |
---|---|
最終学歴 | 大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了 |
専門分野 | ウイルス学 |
学部担当授業科目 | |
大学院担当授業科目 | |
オフィスアワー | 月~金曜日(12:00-13:00)<りんくう・D508> |
メールアドレス | mhorie@omu.ac.jp |
ウェブサイト |
研究紹介
「ウイルスを知り尽くす」を目的として、古典的なウイルス学にフィールドワーク、最新の分子生物学・生化学的手法、さらにはバイオインフォマティクスを組み合わせ、様々な観点からウイルスとその宿主を対象とした研究を展開しています。以下、主な研究テーマを紹介します。
(1) ウイルスの多様性・進化の解明とその性状解析
ウイルスの多様性は未だ十分に解明されておらず、ウイルス全体のうち既知のウイルスは氷山の一角であると言われています。私は、微生物学(感染症)、進化生物学、生態学、さらには遺伝資源の発掘という様々な観点から、種々の生物・環境におけるウイルスの探索を行っています。また発見したウイルスについて、分子疫学調査やウイルス学的な解析などを行い、その性状解明も行っています。
(2) 内在性ウイルス様配列:古代のウイルスおよびウイルスと宿主の共進化
私たち真核生物のゲノムにはウイルス由来の遺伝子配列が多数存在します。このようなウイルス由来の遺伝子配列を「内在性ウイルス様配列」と呼びます。内在性ウイルス様配列の多くは数百~数千万年以上前に生物のゲノムに組み込まれたことが知られており、私はこれらの配列を用いた古代のウイルスの多様性および長期的なウイルスの進化の解明を目指しています。また一部の内在性ウイルス様配列は、宿主生物の生理機能を担うことも知られており、ウイルスと宿主の共進化という観点からも研究を行っています。
(3) 核内複製型RNAウイルスの複製機構の解析
多くの人獣共通感染症がRNAウイルスによって引き起こされることが知られています。RNAウイルスの多くは細胞質において複製しますが、ごく一部のRNAウイルスは細胞核内で複製を行うことが知られています。私は、細胞核内で複製を行う複数のRNAウイルスの複製機構の解明を通じて、核内複製型RNAウイルスの複製戦略の共通点・相違点を見出すべく研究を行っています。
(4) ウイルス感染症の診断法の開発
獣医学領域におけるウイルス感染症の診断法は、未だ十分に整備されていません。私は様々な既存の技術を組み合わせ、より迅速かつ簡便な診断法(核酸検出・塩基配列解読や)の開発を行っています。
これらの他にも、新規ウイルスベクターの開発等も行っています。
キーワード ウイルス叢(virome)、古代ウイルス、内在性ウイルス様配列、核内複製型RNAウイルス
主な著書・論文
- One hundred million years history of bornavirus infections hidden in vertebrate genomes. Kawasaki J, Kojima S, Mukai Y, Tomonaga K, Horie M*. bioRxiv. doi: https://doi.org/10.1101/2020.12.02.408005
- Identification of novel avian and mammalian deltaviruses provides new insights into deltavirus evolution. Iwamoto M, Shibata Y, Kawasaki J, Kojima S, Li YT, Iwami S, Muramatsu M, Wu HL, Wada K, Tomonaga K, Watashi K, Horie M*. Virus Evol. 2021 Feb 12;7(1):veab003. doi: 10.1093/ve/veab003.
- Isolation and molecular characterization of porcine epidemic diarrhea viruses collected in Japan in 2014. Horie M*, Kabemura M, Masatani T, Matsuu A, Ozawa M. Arch Virol. 2016 Aug;161(8):2189-95. doi: 10.1007/s00705-016-2900-1.
- An RNA-dependent RNA polymerase gene in bat genomes derived from an ancient negative-strand RNA virus. Horie M*, Kobayashi Y, Honda T, Fujino K, Akasaka T, Kohl C, Wibbelt G, Mühldorfer K, Kurth A, Müller MA, Corman VM, Gillich N, Suzuki Y, Schwemmle M, Tomonaga K. Sci Rep. 2016 May 13;6:25873. doi: 10.1038/srep25873.
- Endogenous non-retroviral RNA virus elements in mammalian genomes. Horie M, Honda T, Suzuki Y, Kobayashi Y, Daito T, Oshida T, Ikuta K, Jern P, Gojobori T, Coffin JM, Tomonaga K. Nature. 2010 Jan 7;463(7277):84-7. doi: 10.1038/nature08695.
所属学会(役員、委員等)
- 日本獣医学会
- 日本ウイルス学会
- 日本分子生物学会
- 内在性ウイルス様エレメント研究会 ENDEAVR(会長)
- ICTV (International Committee on Taxonomy of Viruses), Bornaviridae study group
受賞歴
- 日本獣医学会獣医学会大会長賞(2010年3月26日)
- 日本獣医学会 獣医学奨励賞(2010年3月27日)
- 日本学術振興会 育志賞(2011年2月1日)
- 大阪大学 山村賞(2011年3月25日)