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Epteiscus属コウモリ細胞株における自然免疫反応を網羅的に解析した論文がMicrobiology and Immunology誌に公開されました

Eptesicus属コウモリの培養細胞における自然免疫反応を網羅的に解析した論文がMicrobiology and Immunology誌に公開されました。

A comprehensive profiling of innate immune responses in Eptesicus bat cells.
Lin HH, Horie M*, Tomonaga K*.
Microbiol Immunol. 2021 Nov 29. doi: 10.1111/1348-0421.12952.

本論文ではE. fuscusおよびE. nilssonii由来の細胞株にPoly (I:C) を導入し、mRNA-seqおよびsmall RNA-seqによって網羅的に自然免疫反応を解析しました。以下、概要を簡単に説明します。

コウモリは、ヒトや家畜の新興感染症ウイルスの自然宿主であることが報告されています。コウモリはこれらのウイルスに感染しても明らかな症状を示さないことが報告されており、独特の免疫機構を持っていると考えられています。しかし、コウモリ細胞において免疫の最前線である自然免疫系が、ウイルス感染に対してどのような反応を示すのかについてはほとんど分かっていません。

本研究では、2種のEptesicus属コウモリに由来する細胞株を用い、poly (I:C) 導入後の遺伝子発現プロファイルをmRNA-seqとsmall RNA-seqにより網羅的に解明しました。

(中略、詳細は論文をご覧ください)

本研究は、Eptesicus属コウモリの細胞における自然免疫反応を網羅的に解析した最初の報告であり、コウモリの自然免疫機構の解明の一助となることが期待されます。また本研究で得られたデータは、今後のコウモリの免疫や生態の研究における礎となるでしょう。

ちなみに本研究で用いたE. nilssoniiの細胞株であるHAMOI-EnK細胞は自作の細胞株で、2016年に発表しています。いつでも分与可能です。

Establishment and characterization of a cell line derived from Eptesicus nilssonii.
Horie M, Akasaka T, Matsuda S, Ogawa H, Imai K.
J Vet Med Sci. 2016 Dec 1;78(11):1727-1729. doi: 10.1292/jvms.16-0274.